グラフ理論における「グラフ」というのはいくつかの点をいくつかの線でつないだモノである。 普通はどの点とどの点が結ばれてるかのみに着目しどのように結ばれているかは問わないことが多いが、幾何学的グラフ理論では点集合としての(位相的)図形として結ばれ方も重視する。 この2つの見方 ― 「システム」としての見方と「図形」としての見方 ― が可能なことからグラフは一見単純ではあるが奥深い数学的な対象となっている。 グラフ理論は身近に存在する。 たとえば我々はいたるところで「植木算」のお世話になっているが、植木算の中にグラフ理論の主要な考えの発端が見られる。 この講義ではグラフ理論の応用数学的な側面よりも純粋数学的な側面に焦点を絞った。 形式的な記述でわかりにくい部分も図を見ればわかってしまうことが多いように図をたくさん入れておいた。 予備知識はほとんど不要であるが、ベクトル空間やポセッ