時計を腕にする最大の目的は、文字盤の表面を視線がかすめただけで、直感的に「現在時刻」を知ることが出来るからだ。 そのため、長く続いたアナログ時代に突然登場した「デジタル表示腕時計」には、なかなか馴染めなかった人もいたはずだ。デジタル表示腕時計は、論理的な現在時刻をそのまま数字で示してはいるが、「目的の時刻までにあと何分あるか」というような感覚がつかみにくい。 アナログ表示にせよデジタル表示にせよ、瞬時に現在時刻を知るために必要な、唯一最大の物理的要素は「視認性」だ。そのため、大きくクッキリした時針や分針、表示文字サイズ、それらとコントラスト比の高い背景の文字盤を採用することは当然だろう。 しかし、そんな腕時計の基本要素を正面から意図的に逸脱し、逆にメディアや顧客からの認知度を上げる戦略に打って出た腕時計メーカーがある。スイスに本拠を置くBell&Ross社だ。 同社の代表モデルである、スク