わが社 わが社は従業員数を両手の指で数えられるくらいの零細企業である。独自の技術を持ち、高い利益あげている、などという話はない。基本的に赤字だが、なぜか昭和のころから令和の今まで生き残っている。 従業員はまったく増えず、ひたすら社員の平均年齢だけが上がっていく。 おれが一番の若手になって二十年以上か。限界集落ではなく、限界企業だといえる。 が、なぜかわからないが、ある上場企業に目をつけられた。 わが社に出入りしていた帝国の人が独立してM&Aを手掛けるようになった。その紹介でなぜだかわからないが、そういうことになった。 正確にはM&Aではなく、税理士事務所も「こんな方法は初めて見た」というような方法で、正式に子会社でもなく、なんともいいがたい(おれもわかっていない)、関連企業となった。面倒くさいので、おれのなかでは「親会社と子会社」ということにしている。 というわけで、わが社はその企業の後ろ