北野武監督の最新作『アウトレイジ ビヨンド』は、ナンセンスでバイオレントな爆笑ブラック・コメディだった前作『アウトレイジ』を伏線に緻密な脚本を練り上げ、前作で撒き散らした暴力の”おとしまえ”を監督自らが着けようとしたかのような、因果応報が巡る秀逸な人間ドラマに仕上がっている。 北野武が明白に娯楽作品としての”面白さ”を追求した本作には、前作からの成り上がり組(山王会の加藤(三浦友和)、石原(加瀬亮)、舟木(田中哲司))と生き残り組(大友(ビートたけし)、木村(中野英雄))、マル暴の刑事(片岡(小日向文世)、繁田(松重豊))に加え、新たに登場する関西ヤクザ花菱会の面々(神山繁、西田敏行、塩見三省、高橋克典)や中尾彬、名高達郎、菅田俊、光石研、新井浩文、桐谷健太といった味のある俳優陣が嬉々として加わっており、この男の前で自分の演技を見せたいという彼らの異様なテンションが、21世紀的なリアリティ