先日寄稿した拙論「なぜ若者は遣い潰されるのか――日本のアニメはブラック業界」には予想を超える反響があって驚いた。何より驚いたのは、当のアニメ業界内部の方々からの反応が大きいことだった。それも怒りの反応が圧倒的だ。 だがそれも考えてみれば予想してしかるべきだった。まずアニメにはジャーナリズムが働いていない。アニメ情報誌はたくさんあっても、業界の歪みを糾弾することはけっしてない。アイドル雑誌と同じで、アイドルならぬ人気キャラクターの版権イラストを業界側から提供してもらわなければあっという間に休刊に追い込まれる。 そのうえ大手マスコミもこの手の情報誌あがりのライターの言説を取り上げる傾向が近年あるため、アニメの監督や有名スタッフたちは「クリエイター」としてひたすら持ち上げられる。 アニメ情報誌の老舗『アニメージュ』の表紙。アイドル雑誌の紙面作りを踏襲しているのがわかる。 そこに「労働者」という視