杉原保史先生は、京都大学の学生総合支援センター(カウンセリングルーム)の教授として日々学生と向き合いながら、民間のカウンセラー養成や研修会など、一般向けの場でもカウンセリングについてわかりやすい発信を行っておられます。心理療法には様々な学派や方法論が存在し、専門家中心の心理援助になってしまいがちな中、より柔軟で広い視野を持つことの必要性についてお話頂きました。 ーー先生は多様な学派の考え方を柔軟に取り入れていくことが必要との考えをお持ちですが、その背景にはどんな経験やお考えがあるのでしょうか。 私は洞察志向的な心理療法のトレーニングを受けてきましたが、そのやり方ではよくならない方もいるんですね。「思い浮かぶことを自由に話してください」と言っても、何を話したらいいのかわからない。どんな問題を抱えているかについてはたくさん話すけれども、それ以上には何も語れない。そういう場合、長期にわたって対話