かつてウラジーミル・レーニンは、「資本家は自分の首を絞める縄までも売る」と皮肉ったと言われる。実際にそう言ったかどうかはともかく、この言葉は一抹の真理を含んでいる。資本主義の世界では、自らが生み出した技術が、やがて己のビジネスを滅ぼすような事態がしばしば起こる。 絵に描いたような例が米イーストマン・コダックだ。同社は1975年に世界初のデジタルカメラを発明した。その技術は後に、カメラの役割も兼ねるスマートフォンの開発を後押しすることになった。今や、コダックの伝統事業であるフィルムとカメラを消滅に追いやろうとしている。 全盛時代のコダックの姿は、今のグーグルと重なる。1880年に創立されたコダックは、斬新な技術と革新的なマーケティング手法で知られた。1888年に掲げたスローガンは「あなたはシャッターを押すだけ。後はお任せください」であった。 コダックの売り上げは1976年までに、全米フィルム