東京都内に住む会社経営のモカ(24)は中学生のとき、母親のスカートをはいたり、化粧をしたりした。高校に進学すると女性ホルモンを服用。女性になりたかったのではない。「女性の持つ外見の美しさを求めていた」だけだ。 周囲の人たちと自分の考え方が、性差をめぐって違っていることは分かっていた。だから18歳のとき、心と体の性別が違う「性同一性障害」の診察を行うクリニックに足を運んだ。 「心に性別なんてない」と正直な気持ちをぶつけた。医師からは納得できる説明を期待していた。ところが、診断の結果は「性同一性障害ではない」。 男でも女でもない“X”として生きているが、女性らしい表情や言葉について「習慣で身に付いた癖みたいなもの」と話す。 付き合ってきた恋人は男性であったり、女性であったりした。男性にはかわいらしく甘え、女性にはデートプランを提案した。 モカは思う。 「多くの人が、社会が求める『男らしさ』『女