東京財団研究員 西田 一平太 未来のエネルギー政策のあり方を統計的に選出された国民が検討する「エネルギー・環境の選択肢に関する討論型世論調査」が行われた。政府が正式な政策決定過程の一部として位置付けたとされたことから、結果が政策に反映されるという期待が高まっている。その反面、政府によって結果が都合よく解釈される恐れがあるとした不信も燻りつつある。 しかし、討論型世論調査を含む“国民的議論”は、原発推進派と反原発派の溝を埋める国民対話をそもそもの目的としている。そこでの結果(選択・意見)を政府は真摯に受止める必要があるが、それはあくまでも政策決定の参考にする材料であることを国民側も理解すべきである。 国の重要政策決定の一環として位置づけられたことで、今回の討論型世論調査は結果が民意としてそのまま政策に反映されるという幻想を国民に与えてしまった。政府はそのことによる不信というリスクを負いながら