テレビ後進国が生んだピッチ看板 (取材・文=樺山 満) (前回はこちら) FIFAワールドカップの圧倒的な人気は、アヴェランジェ時代にFIFAが採ったテレビ放送権政策が大きく後押しした(前回記事)。FIFAはテレビ放送権を、無料で多数の市民が視聴できるよう、各国の国営・公共放送を中心に譲渡してきた。 この公共放送主体の放送権政策が、サッカー独特の「ピッチ看板」というビジネス形式を生んだ。 1980年代まで、商業テレビの先進国は米国と日本だった。筆者の独断だが、商業テレビの発展は、この2カ国がずば抜けていたと言っていい。アベランジェが会長になった70年代、米国の商業ネットワークテレビは既に爛熟期を迎え、日本の民間放送も完成形となっていた。 当時、米国のテレビは、エンターテインメント系番組が隆盛を極めていた。50年前から今日まで続いている『As the World Turns』など