ふらつきや筋肉のこわばりなどを生じ、徐々に運動機能が失われていく神経難病「多系統萎縮症」を発症しやすい遺伝子を発見したと、東京大の辻省次教授(神経内科)、三井純特任助教(同)らのチームが12日付の米医学誌に発表した。 遺伝子は、細胞内のエネルギー生産や抗酸化作用に関わる「コエンザイムQ10」を体内で合成するのに必要な酵素を作る「COQ2」。日本人の患者では9%がこの遺伝子に特定の変異が見られたが、病気にかかっていない人では3%にとどまった。他にも患者に多く見られる別の変異も発見された。 遺伝子変異があった患者はコエンザイムQ10が体内で作られにくい状態になっていることから、辻教授は「コエンザイムQ10の補充が病態改善につながる可能性がある」と指摘。今後、投薬など治療法の開発を進めていくとしている。コエンザイムQ10は市販の健康食品などにも使用されているが、これらを服用しても病態改善効果はな