「上水道の民営化」の動きが出てきた背景には、小規模な自治体では人員や財源を十分に回すことができず、管理・運営の維持ができなくなってきたという事情がある。浄水から配水までの管理・維持・運営の教育やトレーニング、研修を、小規模な自治体がそれぞれ個別に行うには限界がある。給水人口の少ない自治体は広域で連携し、水道事業を行わざるを得ない。 そこで、運営方針や投資、全体の計画は自治体が受け持ち、運営・サービスは民間に任せようという動きが出てきた。これには、「地方公務員の人件費圧縮が求められている」という事情や、「機械化や情報化に伴って従前のように多数の技術者が24時間体制で運転する必要がなくなった」という技術の進展も影響している。 では、海外での動きはどうか。 フランス・パリ市の上水道事業は、再公営化されようとしている。フランスの上水事業は、19世紀から公設民営で行われ、ヴェオリアという「水メ