憲法改正論議の盲点 憲法改正をめぐる議論が急である。自衛軍の明記、国民の「責務」の規定、環境保全への配慮など、憲法をめぐっての議論が今後ますます活発化していくであろう。こうした議論の活性化は、おそらく歓迎すべき事態であるにちがいない。しかし同時に問われなければならないのは、そうした議論の内実である。現在のところ、現行憲法の、「どこ」が、「どのように」改正されなければならないかといった具体的な内容が活発に議論されている一方、そもそも憲法が、「なぜ」改正されなければならないかという根本的な問いは、あまり議論されているようには見えない。しかしながら、後者の問いも、前者の問いに劣らず重要である。なぜなら、前者が憲法の「内容」にかかわるとすれば、後者は憲法の「存在」にかかわるものであるからだ。そもそもなぜ憲法などというものが「存在」するのかがわからなければ、憲法のあるべき「内容」も議論できるはずがな