昨年末、みすず書房から出版されたトマ・ピケティ著『21世紀の資本』が早くも13万部も売れたとか。なにしろ700ページ、5500円(税別)の大著である。最後まで読み通せる人は果たして何%いるのだろうか。筆者も購入して苦闘しているが、とても全部を読み通せるとは思っていない。が、読みもしないで、「私はこう読んだ」などと言っている手合いが非常に多い、ということだけはよくわかる。 ピケティを勝手に「我田引水」する人々 世間にはいろんなピケティ論が出回っている。『週刊東洋経済』のピケティ特集(1月31日号)は良かったと思うが、ひどい雑誌もいっぱいある。 単に自説を補強する材料として、「ピケティも言っている通り…」としている論者の何と多いことか。本書の翻訳を手がけた山形浩生氏は、ご自身のブログ(経済のトリセツ)でいい加減なピケティ論を次々とぶった切っていて面白い 。まあ、本稿も後から、「かんべえ氏もわか