頑固なまでのストレートへの拘り。自らに課し続けた過剰な負荷。 巨人軍への熱き憧憬。あまりに真っ直ぐな23歳の若武者はいかにして 生まれたのか。 2人の恩師、良き好敵手、そして本人の言葉から実像に 迫った。 ジャイアンツ球場にある室内ブルペンの片隅。暗幕を張った即席スタジオでの写真撮影を終えると、スパイクを履き替えながら、澤村拓一が近くにいた広報にぼそっと呟く。 「一回も……笑ってないんですけど……」 いくつかポートレイトを撮らせてもらったのだが、笑顔を作らなくてよかったのか気にかけていたのだった。「いいんだよ」と言うと、うん、とうなずく。ただ、そう言う澤村の顔も、ちっとも笑ってはいなかった。 澤村はグラウンドでは滅多に笑わない。いつもニコニコしている同僚の坂本勇人や、斎藤佑樹(日本ハム)とは対照的だ。直後に行なわれたインタビュー。開幕先発ローテーション入りを確実にしたルーキーは、無愛想にも