■断絶の4年間 ■「自由」ではなく劣化した「組織」 ジーコの就任で「組織」から「自由」に方針が変わったといわれている。これはとんでもないミスリードだ。 フランスW杯での敗退以来、「個」の能力差を「組織」で埋めることが日本の基本方針だった。攻撃面では局面で数的有利を作り、複数人のコンビネーションで崩す。守備面でも数的有利を作ることが基本だ。1対1でも簡単に飛び込まずパスコースを限定しながら相手をサイドに追い込み囲い込んでボールを奪う。攻守両面において数的有利を作るためには、組織的な規律を保ちながら、あえてゾーンバランスを崩す高度な判断能力とそれを支える豊富な運動量が必要不可欠だ。 筆者はサッカー新聞『エル・ゴラッソ』に寄稿した今大会の総括で「明確な戦術的方針を打ち出さなかったジーコ率いる日本代表は必然的に選手が普段慣れ親しんだJリーグの戦術を選択した」と書いた。つまり、ドイツW杯での日本代表