フォード・ピント事件 アメリカの大手自動車メーカーであるフォード車は1970年、小型車『ピント』を発売した。日本やドイツの自動車メーカーの参入により小型車市場は沸騰しており、フォードは開発期間の短縮を図った。その結果、追突されたとき燃料タンクが炎上しやすいという欠陥を見逃したまま商品化してしまった。 自動車は大事故を起こせば人が死ぬ製品であるが、人命尊重のための設備は、合理的な範囲内に止めてよいことになっている。人命尊重のため徒歩と同程度の速度にしたり、周囲に数メートルにも及ぶ緩衝材をつけたり、そういった自動車も実現は可能だが、そこまではする必要はない、とされている。自動車の安全性については基準などが存在するものの、安全水準を決める根拠は、ハッキリしない。競合他社の製品と比較して極端に危険でなければ「製品の欠陥」とはみなされないようなのだが……。 さて、フォード・ピント事件は1972年から