今いる世界、脱出しよう家出をしよう。 つらいとき、「ドラえもんのタイムマシンにでも乗って違う世界に行きたい」と思ったことはないかい。 それは無理でも、空間を劇的(げきてき)に変えることはできる。自分を苦しめている世界から脱出(だっしゅつ)してみよう。そうすれば必ず、今いる世界がちっぽけに思えてくる。 僕(ぼく)は中学時代の夏休み、同級生と2人で1カ月間、家出した。真夜中に家を抜け出し、熊本から夜行(やこう)列車で東京に向かった。カバンに数日分の下着と、親の財布(さいふ)からこっそり「前借り」したお金を持ってね。前年に東京五輪もあり、東京がどんな世界なのか、どうしても見てみたかったんだ。 新聞販売所(はんばいじょ)に住み込みで働きながら、新宿、上野、銀座といろいろ回った。初めて食べたカツ丼の味に感動した。東京タワーから街を見下ろすと、すべてがちっぽけに見えた。 家に帰って、母親からすごく怒ら