今でこそ腰を悪くしてしおらしくなってしまったが、昔のバアちゃんは『肝っ玉母さん』という言葉を具現化したような人だった。 いや、肝っ玉母さんっていうか『屈強』という感じだったかもしれない。 本人いわく『この世に怖いものはミミズしか無い』とのことで、オバケにもチンピラにも堂々と立ち向かう人だった。 なんでゴキブリは素手で握りつぶせるのにミミズは怖いのかよくわからなかったが、少なくとも僕はバアちゃんが何かに怖気づいているのを見たことが無い。 年老いてからもなかなか屈強だったバアちゃんだが、母によると若い頃はもっと無茶苦茶に恐ろしい人だったらしい。 そんなバアちゃんの屈強エピソードとして母がよく語るのが『除霊事件』である。 事件が起こったのはまだ母が中学生だった頃…つまりバアちゃんがどんな物事でも腕力で片付けようとしていた頃の話だ。 当時中学生だった母は、二段ベッドの上の段で寝ていたという。 いつ