これまで人が食べたタマネギで一番高価だったのは、1630年代にチューリップを運ぶ船に乗っていたある船員が食べたものだろう。少なくとも、食べた本人はそれをタマネギだと思っていた。 時は、ヨーロッパがチューリップに沸いていた「チューリップ・バブル」の時代。中東からもたらされたこの植物は投機の対象となり、品種によっては天文学的な値段がついていた(その後バブルははじけ、多くのチューリップ投機家が破産する)。 うっかり者の船員がタマネギと間違って食べてしまったのは、チューリップの中でも特に高価なセンペル・アウグストゥスという品種の球根だった。この球根は一般市場では1個5500フロリンという高値で取引されていた。5500フロリンと言ったら庶民の年収の10倍以上に相当する額。これを知った船員は、どうりでずいぶんまずいタマネギだったと言ったという。 古代ローマ軍を奮い立たせた タマネギは、ニンニク、エシャ