日本の鉄鋼業は、日本のエネルギー消費の10%を占めており、その省エネルギー対策の成否は地球環境問題をはじめとするエネルギー・環境問題を論ずる上で非常に重要である。 本稿においては鉄鋼業の環境自主行動計画による省エネルギー対策の進捗状況を公的統計から客観的・定量的に評価し、さらにその費用対効果の推計を試みた。 その結果、鉄鋼業の環境自主行動計画による省エネルギー対策により、1998年度から粗鋼1t当総合エネルギー消費原単位は急激に改善し、2005年度において1990年度を基準に約7%、1998年度を基準に約13%の改善が達成されていることが客観的資料から確認された。 当該対策に伴う費用については、鉄鋼業の設備投資など追加的資本費用とエネルギー操業費用の低減分から少なくとも約1753億円程度、近年のエネルギー価格高騰分を考慮しても約684億円程度であったと推計された。 これにより、鉄鋼業の環境