大学生のバイブルともいわれ、東大生や京大生から根強い支持を集める『思考の整理学』(ちくま文庫)。今から30年以上前に発刊され、以降240万部を記録した大ベストセラーだ。コンピュータが社会で大きな役割を果たす時代の到来を予見し、暗記・記憶中心の学習よりも自ら考えることの大切さを説いた。 著者である外山滋比古さんは、95歳の今でも研究を続ける「知の巨人」だ。ペリカンの万年筆で毎日執筆を続けているという。今月上梓した『100年人生 七転び八転び――「知的試行錯誤」のすすめ』の中から3回シリーズで、外山さんの歩んできた道のりとそこで考えた哲学、そして読者へのメッセージをお届けする。 第1回目の前編では 「脱線のすすめ」と題して、人生を面白く生きるための思考法を紹介する。「『年をとると1年がとても早くなる』と聞くけれど、早く感じる人はおそらく、まだ“悪”が足らないのでしょうね」と、外山さんは言う。常