バター不足が深刻化している。「昨秋から販売量が制限されるようになった。国産から輸入に切り替えたら、味が違うとクレームが来た」と都内の洋菓子店は苦慮する。スーパーの売り場担当者も「3月以降、バター入荷量は10分の1以下に減った。店頭に並べても15分で売り切れる」と困り果てる。 長引く品薄の状態を受け、4月末に若林正俊農林水産大臣は、乳業メーカーに対し、異例の“バター増産”を要請したと発表。5月は家庭用バターの月間消費量の2割に相当する230トンが増産される。農水省の牛乳乳製品課は「これで店頭からバターが消えることはなくなる」と安堵するが、増産を了承した乳業メーカーは「5月は増産するが、6月以降は未定」と慎重だ。バター不足が完全に解消とはいきそうにない。 生乳廃棄を契機に農水省が減産を主導 空前のバター不足を招くきっかけは2年前。学校給食が春休みに入った2006年3月末に、北海道で900ト