前回のグレンラガン論がそうであるように、このブログではもっぱら、現代の神話を特定の作品のなかに認めようとしてきた。だが、それはたまたまそうなっただけで、本当はいくらでも別種の例を挙げることができるし、また実際そうすべきだ。たとえば、動画の端々に散らばったコードを随時コメントによって発光させていくニコニコ動画は、いまもっとも神話的なメディアのひとつだといっていいだろう。 そう考えると、批評やレビューというのも、ニコニコ動画のコメントとその資格において大差はない。作品に比べて批評のほうが往々にして単純素朴で恣意的にみえるのも、作品が複数のコードから成立するのに対して、批評はそのコードの束のなかから単一のコードにアンダーラインを引くことで成立しているからだ。このポストモダン社会=神話の時代において、批評は、そういうアクセントを施すための媒体に特化している。それはいってみれば、楽譜上に記されたフ