本日解禁された新作フル試聴を受けて、いまいちどMGMT『コングラチュレイションズ』を聴く。PCからではあるにしろ、これまで聴こえてこなかった音の粒もあらわになり、よりいっそう広がりと奥行きを増したその作品の全容に触れてみて、あらためて以前書き留めた試聴メモに確信を持つ。それは、RADIOHEADが規定した2000年代の10年というものが、これでようやく更新されるのだという興奮と喜びと震えである。 ごくごく簡単に言ってしまうと、それは、怯えから攻撃へ、というものだ。少年Aからサーフィンをする得体の知れない複眼を持つ生き物へ、だ。 RADIOHEADは、そのアルバム『KID A』で、この10年の空気がどういうものになるか、恐ろしいほど敏感に感じ取った。その看取した世界の構図は、目を見張るほど正確で、だからこそ、息もできないほど絶望的なものだった。『In Rainbows』でようやく光をとらえる