太陽の光が痛いほどまばゆく、紺ぺきの海が広がる和歌山県の那智勝浦町。生マグロの水揚げ高が全国有数の漁港で有名だ。 小学生の頃、父とこの地を旅したことがあるが、今は道路も鉄路も便利になり、隔世の感がある。しかし、漁港の男たちと彼らを支えるしっかり者の女房たちは、何ら変わっていない印象であった。 魚も生きがよくないとならないが、人も生きのよいこの町で、明治30年(1897年)より水産業を営む「ヤマサ脇口水産」。当代で4代目になり、買い付けから加工、販売までを手掛ける。近海でとれるマグロをメーンとしているため、水揚げ量によって市場価格も左右されがちである。そこで新商品を、と作り出したのが、「海の生ハム」と名付けた品だ。 クロカワカジキを塩と昆布で味付けし、スモークしたほのかな香りが特徴である。カジキのうまみを十分味わうことができ、酒の肴(さかな)としてはもちろん、パンにはさんでサンドイッチにして