再び、2輪ロードレースの最高峰である「MotoGP」に向けたオートバイを取り上げる。以前、筆者はMotoGPに参加する川崎重工業(カワサキ)のエンジニア・チームを取材した。同社の電子制御式燃料噴射装置(EFI)エンジニアであるDanilo Casonato氏に取材した内容を基に、MotoGP向けオートバイに電子技術がどのように組み込まれているのかを紹介したのである*1)。 MotoGP向けオートバイは、最高のスピードとエンジンの大音量が魅力だ。そして何より、秘密めいた雰囲気を持つ。それぞれが特別仕様であるMotoGP向けオートバイの世界を知った筆者は、さらなる刺激を求めた。米カリフォルニア州モントレーにある「Mazda Laguna Seca Raceway」で開催されたMotoGPレースに、再び足を運んだ。 まず、MotoGP向けオートバイに組み込まれた電子技術の全体像を理解する