あけましておめでとうございます。今年で「マガジン航」は創刊から10年を迎えることになります。 昨年は下北沢に誰でも来ていただける「編集室」をあらたに設けました。今年はこの場所を拠点に、ウェブメディア以外にもいろいろな活動をしてまいります。今後も「マガジン航」をどうぞよろしくお願いいたします。 * * * この年末年始は仕事を離れて自分の読みたい本だけを読んで過ごした。10年前にこのサイトを立ち上げたときに漠然と思い描いていたような、電子化へと急激に舵を切るような「本の未来」は、2019年の現在もまだ現実には訪れていない。けれどもいま私たちが享受している書物をめぐる環境は、読者という立場に身をおくかぎりは、きわめて快適といっていいだろう。 仕事納めのあと、買ってからしばらく積んであった本の山を崩し、手始めに野崎歓『水の匂いがするようだ――井伏鱒二のほうへ』(集英社)にとりかかった。一
![いま本をめぐる環境は、とてもよいのではないか](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/dffd4189690e84279589150b47fb53fb77a9c0f1/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fmagazine-k.jp%2Fwp-content%2Fuploads%2F2019%2F01%2F5D7C6701-E5C4-400F-8310-1DEF96EEF1CA.jpeg)