門司戦記 〜雷雲の陣〜 ―――――――――――――――――――――――――――― ――――――――――――― (十一) 雷神降臨の巻 ――――――――――――― 明神曲輪(みょうじんくるわ)で 大友軍の先遣隊をほぼ全滅させた毛利軍だったが、 さらに城門から新手の鯨波が耳に入る。 猛将・戸次鑑連(べっきあきつら)の 第二陣である。 討ち果たした先鋒隊に劣らぬ勢いで、 次鋒隊は城門から明神曲輪まで駆け上がり、 待ち構えた毛利軍に激しくぶつかる。 両軍の刃を交える激しい金属音が、 門司城の中に幾度も響く。 若将の冷泉元満(れいぜいもとみつ)は、 敵の中に、咆哮して戦斧を振り回す どこか派手な存在感を放つ若武者を目にした。 今度こそ武勲を上げてやるとばかりに 太刀を構えて走り出そうとすると、 「おい、大内勢は引っ込んでろ」と、 二人の味方から肩を押しやられた。 元満よりも少し年長の、 桂元親(かつ
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