「カド番になる展開で内容も押されている将棋が多かった。何とか防衛できたのでよかった」 1日、新潟市で行われた棋聖戦第5局。羽生キラーといわれる挑戦者、永瀬拓矢六段との激戦を制し、トップ棋士の貫禄を見せつけた。 ここ数年、若手との対戦が増えているが、半分も年の離れた相手はタイトル戦では初めてだった。「若い人たちは、私たちの頃とは勉強の方法や採用する戦法、その時々に流行する戦型が違います。それが具体的な指し手の違いとして表れてくる。若手の発想を取り入れながら、これまで蓄積してきた経験をプラスして対策を立ててきた」 昭和60年、15歳で史上3人目の中学生プロ棋士としてデビューし、19歳で初タイトルを獲得した。平成8年には史上初の全七冠制覇。以来、名実ともに将棋界を牽引(けんいん)してきた第一人者だ。ところが、プロ生活30年の今年、5月に1勝4敗で名人を奪われ、直後の6月3日の棋聖戦第1局も負け、