米商業不動産業界では問題が広がりつつあり、不良資産の総額は2023年1-3月(第1四半期)に10%増加し640億ドル(約9兆1400億円)近くに膨らんだ。調査会社MSCIリアル・アセッツの最新のリポートで明らかになった。 同リポートによれば、近い将来に問題となり得る商業用不動産は1550億ドル近くに上る。 借り入れコスト上昇が商業不動産業界に打撃となっており、価格が下落し、デフォルト(債務不履行)を選択する所有者もいる。問題となり得る資産の大半は借り換えが必要なビルに関連している。複数の地銀破綻を受け、銀行は与信を引き締めつつある。 ジム・コステロ、アレクシス・マルティン両氏らMSCIリアル・アセッツの調査担当者は「こうした潜在的なディストレスが本格的な問題に発展すれば、不良資産売却の増加と価格下落は避けられないだろう」と指摘した。 原題:Distressed US Commercial