資産規模で世界最大級の銀行、中国工商銀行(ICBC )の経営幹部らは、米国部門に対するサイバー攻撃の発生から数日以内に米国行きの旅客機に搭乗していた。 事情に詳しい複数の関係者によれば、身代金要求型コンピューターウイルス「ランサムウエア」の攻撃を受け、その影響を抑える目的で米国出張が急ぎ手配された。ICBCの幹部らは週末に米国に到着した。 切れ目ない話し合いや電話を通じて、市場を落ち着かせようと幹部らは努めたが、被害を受けたシステムがいつ動き始めるかという問題の答えは出なかった。 ロシアを拠点とするハッカー犯罪集団「ロックビット」が仕掛けた攻撃により、ICBCは米国債の取引決済のクリアリング業務が遂行できなくなり、トレーダーやブローカーは取引ルートの変更を余儀なくされた。ICBCは通常の稼働復旧にまだ至っていない。 関連記事 中国工商銀にサイバー攻撃、米国債に影響-露ハッカー集団関与かバン