熱心なリスナーでも熱狂的なファンでもなかった。事実、ライブ盤を一枚だけ持っているほかは、友達やレンタル店から借りてきてハイポジテープに吹き込んだものばかりだった。でも、あの瞬間に流れていたRCサクセションのロックが、ある人との出会いを与えてくれた。忌野清志郎の歌声が僕に与えてくれたんだ。そうだ。あのときあのロックンロールが繋げてくれたロックンロールに僕は、勇気を、もらった。 大学生の僕は歌詞もわからない洋楽ばかり聴いていた。高校のとき僕の母校で布教されていた「洋楽を聴く男=カッコいい男=女の子にモテる男」という間違った教義を敬虔な信者のように信じていたからだ。その教義を広めていた伝道師ボンクラ達(ウンコ数学部員一同)は高校はおろか大学に入っても誰一人としてガールフレンドがいないのに気付かなかったのが今でも悔やまれる。アルバムに挟まっている、アクセル・ローズを真似てバンダナを目深に巻き笑って