それは、ある日の夜のことだった。 「大至急!」 とのことで、私はその前に抱えていた現場を急いで終わらせて、その現場に急行した。 現場は閑静な住宅街に建つ賃貸マンション。 私を呼んだのは不動産管理会社の担当者。 先に電話で話していたこともあって、私達は挨拶もそこそこに本題に移った。 「まいりましたよ!こんなことされちゃって!」担当者は、怒りのぶつける相手を見つけたかのように私に向かってそう吠えた。 「よりによってコレですよ!コレ!」 担当者は、手の平を喉元に当てて顔を顰めた。 そのジェスチャーに愛想笑いの一つでも浮かべて頷けばよかったのかもしれないけど、予め自殺現場と分かっていた私は、黙ったまま返事をしなかった。 ただ、そんな私の心境にはお構いなしで、担当者は次々と質問を投げ掛けてきた。 どうも、こんな仕事を専業にしている私に興味を覚えたようだった。 「誰かがやってくれなきゃ困るとは言え、大
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