正式な廃止から1年が経過した西武安比奈線では、遺構の「撤去」が始まっています。線路沿いを歩いて取材しました。 半世紀にわたって残された幻の鉄路 埼玉県川越市に、「幻の鉄路」とも言われる鉄道路線があったのをご存じでしょうか。 写真集などにも頻繁に登場する通称「池辺の森」。鳥や虫などさまざまな生き物が生息している(2018年4月、栗原 景撮影)。 それは、西武安比奈(あひな)線。西武新宿線の南大塚駅と、入間川の右岸河川敷にあった安比奈駅を結んでいた全長3.2kmの貨物線です。1925(大正14)年2月に入間川の川砂利輸送を目的に開業。その後、川砂利採取の規制強化などにより、1963(昭和38)年に運行を休止しました。 その後、安比奈線は廃止ではなく休止線として存続。バブル期の1987(昭和62)年には、増加する西武新宿線の旅客輸送に対応するため、安比奈駅付近に車両基地を建設し、安比奈線を復活さ