がんの「基本」を数回に分けて解説しています。今回は5回目です。この「番外篇」は、今回で最後となります。(第1回、第2回、第3回、第4回) がんは消えても患者さんは… わが国では、がんの患者さんも治療にあたる医師も、ともかくがんを治すことだけを考えてきました。完治(かんち)はもう無理とわかっていても、亡くなる前の日まで抗がん剤を使ったりするのです。 こんな例がありました。直腸がんの手術後に、肝臓(かんぞう)の転移が見つかった患者さんのケースです。ずっと強い抗がん剤の治療を受けていて、結局は副作用で白血球が減り、感染症で亡くなりました。 解剖をしたときに担当医が患者さんの奥さんに満足そうに「よかった、抗がん剤は効いていました。肝臓のがんは消えています」と言ったというのです。 がんは消えても治療で患者さんは亡くなっている、本末転倒です。 治癒率より大切なこと 現在、がんの治癒率(5年生存率)は、