札幌地裁は12日、民事訴訟が札幌簡裁に移送されたことを示す「決定書」と「送達報告書」を紛失したうえ、地裁のコンピューターを操作して隠蔽(いんぺい)工作をしたとして、30代の男性書記官を戒告の懲戒処分にしたと発表した。書記官は同日辞職した。 地裁総務課によると、書記官は1月下旬ごろ、両文書を紛失。4月上旬ごろ、コンピューターシステムに入力された移送決定のデータを削除し、架空の第1回口頭弁論期日を勝手に入力。6月に原告と被告に虚偽の呼び出し状を送付、7月に無効な審理を開かせた。 4月に着任した裁判官が第1回口頭弁論が遅いことを不審に思い発覚した。書記官は隠蔽を図ったことを認めているが「どのように文書を紛失したか覚えていない」と説明しているという。札幌地裁は公文書偽造の罪に当たるか検討したが「犯罪性を疑うに至らなかった」と刑事告発しない方針。【佐藤心哉】