ガット・ウルグアイ・ラウンドの結果、関税化(輸入数量制限を関税に替える)や関税引き下げによる水際の市場アクセスの改善に加え、貿易に影響を与える国内の農業補助金や輸出補助金の削減についてもWTO(世界貿易機関)が規律することとなった。現在のドーハ・ラウンドも、市場アクセス、国内補助金、輸出補助金の3分野の保護をさらに縮小する方向で交渉されている(表1)。 輸出国が市場開放を迫る一方、輸入国が自国の農業を守ろうとすることは当然であるが、各国の交渉ポジションはそれぞれの農業政策を反映している。 アメリカは1960年代に関税や価格支持による保護から財政による保護(農家への補助金・直接支払い)に転換した。ウルグアイ・ラウンドでアメリカから攻められたEUも、関税引き下げや輸出補助金削減に対応できるよう、92年以降穀物などの価格を大幅に引き下げ、農家に対する直接支払いによって補うという改革を行った。 こ