ファイル共有ソフト上で個人情報を流出・転送する行為を直接取り締まる法令はなく、捜査当局が適用可能な法令を駆使して立件するケースが続く。専門家は法整備の遅れを指摘する。 警視庁によると、東京都八王子市の無職川嶋一洋容疑者(50)は「ウィニー」のネットワーク上で入手した日本IBMの仕様書を、さらに別の共有ソフト「シェア」で送信し、流出させた疑いが持たれている。同庁はこの仕様書を著作物ととらえ、同社の権利を侵害したと判断した。生徒約2千人分の個人情報は仕様書と一緒に圧縮ファイルに入った状態で、シェアのネットワークに流出させたという。個人情報ではなく仕様書を流出させた行為について立件する、いわば「奥の手」だった。 「共有ソフトによる情報流出は故意と過失の見極めが証拠上難しい。だからといって見過ごすことはできず、現行のあらゆる法律を駆使して取り締まっていくしかない」と同庁幹部は話す。 コンピュ