東京国立近代美術館(東京・竹橋)にて、「声」にフォーカスした詩人・吉増剛造の個展「声ノマ 全身詩人、吉増剛造展」が開催されている。現代詩や文学に多大な影響を与えてきただけでなく、領域横断的な活動を展開しアーティストとのコラボレーションも積極的に行ってきた吉増の作品を美術館で紹介する、挑戦的な試みだ。 詩人・吉増剛造(1939〜)は、1960年代よりリーダーやカタカナなどを多用した独特のリズムを持つ詩を発表してきた。展覧会タイトル「声ノマ」は、吉増がしばしば漢字をカタカナに置き換え、言葉が本来持つ多義性を回復させようとしてきたことに由来するもの。「マ」には、魔、間、真、目、待......といった、いろいろな意味が込められているという。 本展で展示されるのは、2011年の東日本大震災以降書き続けられている長編詩《怪物君》のドローイングのような原稿や、吉増がさまざまな場面で自らの声を録音した「