多様性を極めているかのような魚類の不思議な色覚から始まり、いったん高次の色覚を失った哺乳類の中でふたたび3色型色覚を取り戻した霊長類。さらにはヒトがなぜ色覚多型を持っているのか、という問題まで。現在はコスタリカの新世界ザルのフィールドと実験室を行き来する21世紀スタイルの研究室としてフル稼働している。 ここからコスタリカの新世界ザルの話に入っていきたいのだが、その前に、河村さん自身の研究史に触れておきたい。現在のフィールドに至るまでには、やはり、一筋縄ではいかないストーリーがある。 そもそも、色覚研究は、本当に広く深いテーマで、興味が尽きない。ぼくはお話をうかがいながら、古典的な学問としてニュートン(光学)からゲーテ(色彩学)までをひとまたぎした上で、ダーウィン(進化論)によって筋を通し、ティンバーゲンやローレンツ(動物行動学)の肩を借り、生理学や医学の知識も総合しつつ、21世紀の超最新型