基本資産363億ドル(約3.6兆円)の世界最大の慈善団体、ビル&メリンダ・ゲイツ財団。途上国支援で知られるこの財団が最近取り組んでいるのが、アメリカの高等教育改革だ。「現在の教育、またそのシステムは、端的に言って持続不可能だ」と、昨年ある大学での演説でビル・ゲイツは語った。その言葉の背景には、今の高等教育のあり方が、アメリカの社会格差をむしろ広げつつあるという問題意識がある。 高騰する一方の学費は、低所得者層だけでなく中所得者層にも重荷に。かといって、大卒の資格がなければ確実に就職に困る。さらに学生の「就職力」という観点から見れば、現状のカリキュラムはあまりに旧態依然だ……。状況は多少違うにせよ、日本でも同様の議論はある。「今こそ問わなければならない。……どうすればより多くの人に、より低コストで、よりよい教育を提供できるのか」(ゲイツ氏) そのモデルケースの1つが、南ニューハンプシャー大学