「私もオタクであり、中二病患者の一人だ」――日本語で創作活動を行う台湾人作家・李琴峰の成長過程において、日本のアニメ文化はとても身近な存在だった。自らの日本語学習の道程とは切っても切り離せない数々の「オタク的な遍歴」について、李琴峰本人が綴る自分史。 日本の同世代と同時期に同じブームを経験 オタクである。 本当は自分如き「二次元」(漫画かアニメのキャラクターやその世界のこと)の知識に乏しい人間がオタクを名乗っていいかどうか、本物のオタクの皆さまに失礼ではないかという躊躇(ためら)いはあるが、そもそもアニメ文化を嗜(たしな)まない一般の方々からすれば、「本物のオタクの皆さま」などと抜かし出す時点で十分にオタクであるということらしいので敢えて名乗らせてもらうこととしよう。 後になって知ったことだが、多少の時差はあっても、台湾生まれの私は日本の同世代の子供たちとほぼ同時期に同じブームを経験し、同