有料の学術論文をインターネット上で無料で閲覧できるよう違法に公開する海賊版サイト「Sci―Hub(サイハブ)」の利用が急増している。日常的に利用しているという40代の男性医師が毎日新聞の取材に応じた。男性は違法サイトであることを認識しながらも、「あまり罪悪感はない」と明かした。 男性は北海道内の医療機関に勤務する。診療のかたわら、年に計10本程度のペースで日本語と英語の論文を執筆している。論文を書くためには過去の論文を参考にしたり、引用したりする必要がある。関連分野の研究者の論文を読み込んで日々勉強することも不可欠だ。 しかし、所属する診療科で購読契約している学術誌は現在3誌のみ。男性は「読める論文はかなり少ない。さまざまな分野の論文が載っている総合学術誌を購読したとしても、専門分野で読みたい論文は読めない」と話す。