■甲子園の展開で決める臨時特急 車内抜け乗り継ぎ 関西の私鉄はそれぞれが独自のカラーを誇っている。例えば、細やかな気配りやサービス、鉄道事業者なのに鉄道に頼らない経営方針…。長い年月をかけて培われた底力がそれぞれの強みを生み出している。 ◆球場で目視 プロ野球の阪神と巨人の試合が行われた4月8日の甲子園球場(兵庫県西宮市)のスタンド席への出入り口に、甲子園駅長、藤森義一さん(49)の姿があった。球場全体を見渡し、「外野席」「内野席一塁側・三塁側」などと記された手元の紙に、目視で数字を書き込んでいく。 プロ野球のシーズン中、試合開始前のスタンドに足を運ぶのは藤森さんの日課だ。甲子園駅長には、試合開催日に、駅近くに待機している電車を臨時特急としていつ運行するか、という特別な権限が与えられている。 営業キロ50キロ足らずの阪神電車にとって、ほぼ甲子園球場を埋める阪神ファンの輸送は“命綱
