中東のイエメンで約800万人が飢餓状態にあるとされる「世界最悪」の人道危機が続いている。地域大国サウジアラビアとイランの思惑が絡む内戦でインフラが破壊され、国土が南北に分断されて支援物資が届きにくい状況が続いているためだ。4日にはサレハ前大統領が殺害され、戦闘の激化が懸念されている。 イエメンでは2014年9月、イスラム教シーア派系の反政府武装組織フーシが首都サヌアを占拠。国際社会が支持するハディ暫定大統領を翌年放逐し、「革命政府」の樹立を宣言した。シーア派を国教とするイランが軍事、財政面で支援してきたとされる。 これに対し、イランと覇権を争うサウジアラビアなどアラブ諸国は15年3月、南部に逃れたハディ政権を支えるため軍事介入を開始。国土を南北に分ける内戦に突入した。 以来、イエメンの人道状況は悪化の一途をたどる。軍事衝突で1万人近くが死亡。サウジ軍などによる空爆で水道や病院などが破壊され