八年前のことである。 某暴力団幹部を取材する為に若い衆に車で迎えに来てもらった事がある。 助手席にベビーシートが備え付けられてあるのを怪訝に思って、 後部座席から身体を伸ばし覗き込んだ。 そこには一頭の動物がいた。 その動物を見て驚いた。 オランウータンの赤ちゃんだった。 私の視線に気付くと甘えるように長い腕を伸ばしてきた。 ヤクザがオランウータンを飼っている。 作り話をしているかのように周囲は笑った。 その数ヵ月後、この目撃談は実話に変わった。 車の中にオランウータンを乗せていた組織とは無関係であったが、大阪のペット販売業者が摘発されたのだ。 繁華街(梅田)のアーケード街にあるペットショップ(梅田わんわんランド)は、ワシントン条約で禁止されているオランウータンやテナガザルなど絶滅危惧種の霊長類十二頭を、睡眠薬で眠らせ箱詰めにして税関を通過させる方法で密輸入し販売していた。 冷酷な密輸方法