妖しくも聖なる、背徳のエロティシズム―― 1960年代高度経済成長期の真只中、あらゆる営みに強制的に変化が求められた時代に、金子國義は独自の美学を形成し成熟させ、センセーショナルな衝撃と共に美術界に現れました。その表現は、時に激しい衝動を覚える程のエロスでありながら、耽美で神聖なものにさえ感じられます。 当時、金子國義は三島由紀夫、澁澤龍彦、唐十郎、四谷シモンといった作家達と親睦を深めていました。彼らは前衛的(アヴァンギャルド)と表現され、現代に於いてもなお刺激的な作品を数多く生み出しています。金子はそういった交友関係の中で自らの表現を模索し、サドやバタイユなどのエロティシズム文学や聖書に深く影響を受け、文学と絵画を結び付け独自の美を探求しその表現を確立させます。 内に秘めた欲望の解放、その果てに立ち現れる美を追求し、絵画に留まらず写真や陶芸、装丁など様々な作品を生み出しています。聖と邪が