拝啓 手塚治虫様第20回 僕たちの好きなドラゴンボール 「漫画に物語はない」という直感を動機として書き始めた「拝啓 手塚治虫様」も節目の20回目ということで、今回は、私も思い入れの深い作品を例にマンガ物語論を考察していきたい。思えば10回目で触れた「童夢」の時に「ドラゴンボール」についてもいずれ考えたいといってから何年経っとんねんって感じだが(このシリーズが始まったのは2003年、第10回が2004年、前回が2006年の4月だっけ。実に一年ぶりの更新……)。 前回は物語論・ナラトロジーを意識した話だったが、今回もそれを踏まえながら、鳥山明「ドラゴンボール」を読んでいこう(前回に倣い、物語は「ストーリー」「キャラクター」「世界観」「読者」の4つに分けて考える)。 1 ペンギン村再び 「ドラゴンボール(以下「DB」と略す)」が、作者・鳥山明の前作「ドクター・スランプ」と、当初地