ララビアータ:永井均氏の『子どものための哲学対話』 - livedoor Blog（ブログ）永井均氏の作品の文庫化のための解説を書いた。氏の魅力的な作品群のなかでも、子どものためと謳ってあるように、平易で簡便な哲学入門および永井哲学入門に仕上がっている好篇である。内田かずひろ氏の挿絵も、永井氏の本分を深く理解した上で描かれていて好もしい。これほどわかりやすく書かれた名人芸に、さらに解説など付け加えるのは、屋上屋を重ねる以上に野暮というものかも知れない。 安請け合いして引き受けたものの、本文よりいくらか難しくなってしまったのは、望ましくはないがやむを得ないところ。実際には、永井氏の本文も、見かけほど簡単なわけではない。哲学の根本問題に深く切り込んでいる以上、形而上学の問題を論じる場合も、倫理学を論じる場合も、難問とつながっているのである。私の「解説」は、その点を読者に警告する役割くらいは果たせるかもしれない。すでに校正を送ったから、8月中には文庫版として出版されるだろう。
